

(C)2009, Mother and Child Productions, LLC
『愛する人』
aisuru-hito.com
Bunkamuraル・シネマ/TOHOシネマズシャンテほか全国公開中
配給:ファントム・フィルム
監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア
出演:ナオミ・ワッツ、アネット・ベニング、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ジミー・スミッツ
"下着"にまつわる衝撃のシーンに女として思うこと
1月15日、公開となった映画「愛する人」。タイトルはストレートな恋愛モノをイメージさせるが、むしろ愛情を得られず、さまよう女の物語。しかし、意外な結末は愛に溢れたものとなる。
ナオミ・ワッツ演じるヒロインは、きわめて有能で美しい弁護士だが、短期間であちこちの弁護士事務所を転々としてきた。「女性の同僚が自分のことをコワイと言うから」。
新しい弁護士事務所でも、黒人のボスとたちまち関係を結ぶが、同じ時期、隣に住む新婚カップルの夫をも誘惑する。
その時、こともあろうに自分の下着のレースのパンティを、浮気相手の家で妻のドレッサーの下着入れの中に忍ばせてくるのである。
何不自由ないはずの彼女が、なぜそんな行動に出るのか、それがこの作品の主題になっているのだが、何としてもこのシーンが衝撃だった。
"浮気相手の家にイヤリングを残してくる"そんな場面はどこかで見た気がするし、ひょっとすると身近で同じことが起きたり、自らそれを経験した人もいるのかもしれない。
しかし、下着を他の女のドレッサーに忍ばせてくるのは、その10倍罪深く挑発的である。しかもそれは、自分自身にとってもすべての幸せの可能性を自ら絶ってしまうような行動。つまりイヤリングをさり気なく落としてくるほうが、あわよくば彼を自分のものにして幸せをつかみとろうとする意志がある分だけ、女としてズルイわけである。
裏を返せば、自分を犠牲にしてまで相手の妻に"夫の裏切り"を教える目的があった。愛のモロさや、ウソっぽさを伝えてやりたいという強い意志があったのかもしれない。"正義感"と呼ぶにはやっぱりあまりにも罪な計画だが、女にとっての下着というものの役割を、そこにあらためて垣間見る気がした。
自分にとっての下着は、女としての自分の魂。そんな気がしたのだ。
下着をつけた時、裸の時より女の体が"女"になる。下着はまさに "女の魂"を体に宿すためのものなのだ。だから、体を離れていった下着もまた私の魂。
女は、自分の下着を捨てることが嫌いである。新しい下着を買うのは大好きでも、捨てるのは恐い。それもたぶん"私の魂"だからなのだろう。
そんな抜き差しならない、"女と下着の関係"を劇的に描くことで、ヒロインの胸の深いところにある心情を、そっくり語らせることになったのは間違いない。たぶん女たちも知らない女の側面が描かれたこの映画を、ぜひ見てほしい。いろんな女の不幸と幸せがギュッとつまった、センセーションにしてきわめて叙情的な作品である。









